【世界のお茶】モンゴル~都市と草原の間で
大草原の国、モンゴル。留学先の北京でルームメイトだったモンゴル人の女の子に会いに、ウランバートルを訪れたのは2005年のことです。そこで待っていたのは、ロシア風の建物とキリル文字、ヨーロッパ風の美味しい料理、真っ青な空と、草原で飲んだスーテーツァイ。現地の人がどんなお茶を飲んでいるのか、私の知っている範囲で少しご紹介したいと思います。
ウランバートルのスーパーで驚いたのは、チョコレートからお茶まで、ロシア経由で入ってくるヨーロッパの商品が所狭しと並んでいたことです。値段も日本で買うよりは随分安かった記憶がありますが、私の友人は比較的裕福な家庭だったので、一般的には少しぜいたく品なのかもしれません。彼女が北京で毎日飲んでいたお気に入りは、ドイツのクルーガー社のフルーツティーでした。
中国や最近ではジョージア産の黒茶を削って煮出し、牛やラクダの乳と岩塩を加えたモンゴル式ミルクティー。遊牧民が飲むイメージがありますが、友人宅でも普通に朝食に出てきました。少し裕福な家庭であれば、都市部の自宅の他、郊外の草原に別荘を持っており、週末や夏休みはそこで過ごすそうです。草原で飲んだスーテーツァイは、岩塩が絶妙に効いていてとても美味しかったです。
モンゴル原産のハーブティーもよく飲まれているそうです。そのひとつが、日本でも一時ブームになったサジー(沙棘)。実をジュースで飲むだけでなく、葉もお茶として飲まれています。その他にも、日本でいう野草茶のようなものもあり、スーテーツァイと並んでよく飲まれているそうです。私も昨年東京で行われたモンゴル祭りに行ったときに運よく入手でき、お茶会でお出ししました。
アジアとヨーロッパの間、都市と草原の間。色んな顔をのぞかせる魅力的な国、モンゴル。もう一度訪れたい場所のひとつです。皆さんもぜひ、モンゴルで美味しいスーテーツァイを飲んでくださいね!
田中友美
[ TEAスタイリスト ]
学生時代、北京留学をきっかけに中国茶に傾倒。大学卒業後、上海にて3年間勤務。世界の茶産地への旅をライフワークに中国茶をメインとしたイベントの開催や茶葉・茶器の販売などを行う。お茶を囲むことで生まれるご縁「茶縁」を大切に活動している。