【世界のお茶】中国・お茶をめぐる旅:中国雲南省4~プーアル茶の旅後半
今回、絶対に行こうと決めていたのが、易武山です。
易武山は旧六大茶山のひとつで、その昔、まさにこの地から「茶のシルクロード」と呼ばれる「茶馬古道」を通ってプーアル茶がはるか遠くまで運ばれていたのです。
景洪から車で片道3時間ほどかかる山奥にあるということと、今は特に栄えてもいないことで、引き続きお世話になっているタクシードライバーは、「なんでそんなところ行くんだよ~」と猛反対。
それでもわたしの熱意(と、お金?)に負けてしぶしぶ承諾。朝の5時半にホテルを出発してくれたのでした。なんだかんだ、ナイスガイでした。
寝不足でうとうととしながらたまに目を開けると、まだうす暗く険しい山道(しかもすごい霧!)を、ドライバーが素晴らしいドライビングテクニックで攻めていました。「まだ寝てていいから!」と言われても、正直怖くて寝れません! 動画を撮っておけばよかったです。
そのうち夜が明けて、茶畑が広がる山の上で、すごくきれいな朝日です。途中、少数民族らしいおばあちゃんに道を聞きながら、なんとか8時に到着しました。
易武古鎮(鎮は村のような意味です)は、今は本当に何もないところでした。
だけど昔北京まで続いていたその石畳には、ところどころにまだ馬の蹄の跡が見受けられました。
とてものどかな、小さな村ですが、あちらこちらのお宅で茶葉を干す作業が行われていました。
ただ、石畳は開発によりだいぶ破壊されてしまったようで、残念です。
町から少し山道を登ると、一面お茶畑です。
お茶を摘みに行く人たちを発見したので、ついて行って茶葉でも摘ませてもらおう、と追いかけましたがいつまでたってもひたすら山を登って行く様子なので、20分ほどであきらめました。さすが、健脚です。
易武の町です。
分かりにくいところにありましたが、茶馬古道の石碑も発見しました。
わたしたちが熱心に写真を撮るのを見て、タクシードライバーのお兄ちゃんは、「中国もこういう場所をもっと保護すべきだね」とつぶやいていました。あんなに反対していたのに・・みんながそんな気持ちになれば、きっとそういう日も来ると思います。
この後、町に降りて、美味しい麺でホッと一息です。
それから、偶然見つけたお茶屋さんで飲ませてもらった100年ほどの古樹茶がまた衝撃の美味でした。
プーアル茶にはいわゆる「生茶」と「熟茶」があり、日本でよく見られるのは「熟茶」です。
「生茶」は自然に発酵をさせたお茶で、年数が経てば経つほどおいしくなることに気付いた人々が、その熟した風味を作り出そうと人工的に発酵を促進させたのが「熟茶」だと言われています。
どちらもいいものは美味しいのですが、この辺りの人は「生茶」しか生産しておらず、「熟茶」はちょっと邪道扱いでした。わたしも以前から「生茶」派ですが、今回の旅でますますその虜になりました。
山間に広がるお茶畑。育てる手間も、摘む手間も、相当なものだと思います。そんな時間と距離を経て私たちの手元に届く自然の恵み。お茶のルーツを感じることのできる旅でした。
今回は旧六大茶山のうちの2つしか訪れることができませんでしたが、機会があれば新六大茶山にも行ってみたいです。
(つづく)
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田中友美
[ TEAスタイリスト ]
学生時代、北京留学をきっかけに中国茶に傾倒。大学卒業後、上海にて3年間勤務。世界の茶産地への旅をライフワークに中国茶をメインとしたイベントの開催や茶葉・茶器の販売などを行う。お茶を囲むことで生まれるご縁「茶縁」を大切に活動している。