【旅と本】タイのお茶、アジアのお茶
「タイのお茶、アジアのお茶」は、旅行作家である著者が、タイ国を中心としたアジア各地にお茶を求めて旅をするエッセイ。訪れた国は、タイ国・バングラデシュ・ミャンマー・ラオス・中国。それぞれの場所に、お茶の飲み方や食べ方、嗜好、歴史と深く関わるお茶との付き合い方があり、人々の暮らしがある。本についている地図と目次を見比べながら、旅する気分で楽しめる一冊です。
ほとんど写真のないこの旅を、体感するように読めるのは、旅の情景を楽しく想像できるから。著者と旅仲間の掛け合いにいつの間にか引き込まれ、仲間の一人になって一緒にツッコミを入れているうちに、屋台でお茶を飲んだり、市場で珍しい食べもの(主にお茶の漬物や唐辛子漬け)をつまみながら歩いている自分に気付くのです。
旅をしながら、学べるのもこのお茶旅の良いところ。「チャイ・ロードの謎」の章では、イギリス人が紅茶党な理由を考察するところから、アジア人のおなかが牛乳に弱い理由まで語られ、無理して牛乳を飲まなくてもいいんだな、と救われます。
著者がお茶を求めて歩くのは、辺境の地にあるお茶工場、路面店、市場のお茶屋さん。お茶の採れる場所、集まる場所には、人の流れと歴史あり。時には縦ゆれ横ゆれの激しい列車に乗り、時には観光客の一人もいない山あいの町で、現地の人と会話することで、歴史を身近に感じたり、人々の暮らしを垣間見ることができるのです。そして旅にかかせないのは、居心地の良いカフェと雑多な市場。アジアのけだるくも懐かしい暑さの中、市場を散策する喜びをまた味わいたい!
この本を紹介してくれた、旅茶TEAスタイリストの友美さんが、2011年に中国・雲南省の西双版納から陸路でタイ国を訪れたお茶旅を、当サイトのために再編集してくれました。コラム「世界のお茶」でシリーズとしてお届けしますので、そちらも合わせてお楽しみください。
タカハシアヤ
[ 企画・運営 ]
大学卒業後、上海に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。上海生活6年、中東生活3年を経て、現在は東京でコーディネーターときどきウェブ、イベントなど制作に関わることをしています。