【世界のお茶】スペイン・ポルトガルの旅とお茶:リスボンのお茶とカフェ

2015年9月4日、マドリードからポルトガルの首都・リスボンに到着です。初めてのポルトガル。英語はスペインより通じましたが、みんなとてもシャイな感じで、マドリードの陽気で明るい雰囲気からガラッと変わりました。旧植民地だった諸国との繋がりは今も深いようで、街を歩いても所々に南米やアフリカの香りを感じました。
リスボンは海に面した坂の多い町で、「7つの丘の街」とも呼ばれています。私たちは丘の上にあるシアド地区のホテルを選びました。窓からの景色にテンションが上がります。
まずはお目当てのお茶屋さんに向かいます。コーヒーとチョコレートとお茶を扱っているこじんまりしたお店。ここへ徒歩で行けることから、ホテルを同じ地区にしたのです。
ポルトガルでは、お茶のことをchaと言います。一般的にロシアやインド、トルコや日本等、陸路でお茶が伝わった場所はchaやchai、イギリスやフランス、スペイン、オランダ等、福建の港から伝わった場所は福建語の訛りがそのままteaやteとして伝わったと言われています。インドネシアやマレーシアはオランダの貿易拠点だったため、te系統です。一方、ヨーロッパでポルトガルが珍しくcha系統なのは、マカオから直接茶葉を仕入れていたためだそうです。
店内には、中国茶やセイロンティー
もちろん、ダージリンティーも
それから、旧植民地との繋がりを感じる、南米やアフリカの珍しいお茶もありました。
私のお目当てのお茶もありました!ポルトガル領のアゾレス諸島・サンミゲル島では、ヨーロッパでは珍しく、茶が生産されています。今回の旅では、ポルトガル産の紅茶を入手したかったのです。(下の写真・右上)緑茶と、紅茶2種を購入しました。帰国してからいただきましたが、渋みが少なくストレートでとても飲みやすかったです。いつかサンミゲル島にも訪れてみたいです。
お茶を買えたところで、街歩きに出発です。雑貨屋さん、ポルトガル伝統のタイル「アズレージョ」、街を走り回る黄色いトラム。目に映るものがレトロ可愛くて、シャッターが止まりません。
こちらはキッチン用品のお店のようでした。缶もレトロで可愛い!ポルトガルは、食器も有名ですね。
街のあちこちでみた「アズレージョ」
ランチのパイとスープも美味しかったです!
雑貨屋さん。いわし料理が有名なためか、いわしをモチーフにした雑貨をあちこちで見かけました。
黄色いトラム
2泊しかないリスボン、この日は中心地から少し離れたベレン地区へ向かいます。ここへ来た理由はもちろん・・有名な「パステイス・デ・ベレン」のエッグタルトを食べるため。エッグタルトは、ポルトガルでは「パステル・デ・ナタ」と呼ばれます。近くにある世界遺産、ジェロニモス修道院から伝えられた秘伝のレシピを1837年の創業当初から守り続けているそうです。
有名なお店とあって、大行列。店内で食べるのはあきらめて、テイクアウトにしました。
これが、美味しくて美味しくて・・2人で6個入りを買ったのですが、何個でも食べられそうでした!!これを食べにまたリスボンに行きたいくらいです。
徒歩圏内にある、「発見のモニュメント」。日本もありました!大航海時代のポルトガルの栄光の歴史に触れることができます。
それから世界遺産のジェロニモス修道院。時間が遅かったからか、ほぼ貸し切りで美しい建築を堪能できました。
中心地へ戻り、コメルシオ広場でテージョ川を眺めます。ここにはリベイラ宮殿がありましたが、1755年に起きたリスボン大地震で崩壊し、広場として現在まで残されています。
近くで軽く夕食をとって、ホテル近くのカフェへ。
スペインでは至る所にバルがありましたが、リスボンではその代わりにカフェがたくさんあります。美味しいビカ(ポルトガルのエスプレッソ)に、焼き菓子がたくさん!少し甘めですが、ビカに合うのです!そして面白かったのが、カフェとバーが一体化していること。焼き菓子が並ぶ隣にビールサーバーがあったりして、日本だとあまり見ない組み合わせですよね。
訪れたのは創業1905年、老舗のカフェ・ア・ブラジレイアです。ビカを最初に売ったお店なのだそうです。夜のカフェは大人の雰囲気。お酒派とコーヒー派が入り混じってそれぞれの時間を楽しんでいます。
こんな風に、バーでスイーツを食べる違和感にドキドキしました。お酒が飲めない私にとって、お酒の空間にすんなりと入りこめることは、なんだか嬉しい体験でした。
歴史的にお茶とは繋がりが深かったはずのポルトガル。でもカフェでお茶を頼んでいる人は一人もいませんでした。やはり今は、コーヒー文化なのですね。この焼き菓子に、紅茶の選択肢があってもいいのにな、と思いながら、美味しいビカをいただいた夜でした。
つづく

田中友美
[ TEAスタイリスト ]
学生時代、北京留学をきっかけに中国茶に傾倒。大学卒業後、上海にて3年間勤務。世界の茶産地への旅をライフワークに中国茶をメインとしたイベントの開催や茶葉・茶器の販売などを行う。お茶を囲むことで生まれるご縁「茶縁」を大切に活動している。