【日本のお茶】阿波晩茶の産地を訪ねて~前半~

【日本のお茶】阿波晩茶の産地を訪ねて~前半~

2023年の秋、徳島で開催されている「トリコロール映画祭」に旅茶時間として参加した時に、関係者の方からいただいた阿波晩茶。その時の様子はこちら

その存在は知っていたものの、乳酸菌発酵による優しい香りと味わいに、改めて感動したことを覚えています。一度茶葉の酸化酵素を失活させ、後から発酵をさせる「後発酵茶」の飲み比べもしたのですが、その話はまたの機会に。


阿波晩茶は7月頃に、大きく育った茶葉を摘み取り、選別して釜で茹でた後、専用の器具で摺り、木製の桶に隙間なく詰めて、茶葉の茹で汁を加え、2週間~1月程度漬け込んで作ります。

今回、幸運にも漬け込んだ後の茶葉を桶から出して天日干しをする作業を取材させていただけることになりました。

快く受け入れてくださったのは、徳島を拠点に地域の魅力をその背景にあるストーリーと共に発信する様々な活動をされている、あわい商店さん。阿波晩茶の伝統を守るため、農家さんと共に晩茶づくりにも取り組まれています。

天日干しは天候が重要なため、直前に決まることがほとんどだそうです。雨が続いていた8月末・・作業の数日前にご連絡をいただき、急いで現地へ向かいました。


阿波晩茶の主要な産地のひとつ、上勝町は徳島市内から車で一時間ほどの山間の町です。朝7時集合のため、5時半に市内のホテルを出て、レンタカーで向かいます。

田園風景の向こうに上る朝日を見ながら走り、最後に細い山道を登り切ったら、絶景が迎えてくれました。


初めて見る阿波晩茶の木桶。地域の公民館のようなところで、屋根のある屋外に保管されていました。生葉が80㎏入る大きな桶が1つ、18㎏入るものが2つありました。

茶葉の上にシュロの葉、その上に蓋をして、さらに重石がしっかりと固定されています。茶葉を漬けておく時間は、天候や茶葉の発酵具合など状況を見ながら、各農家さんによっても異なるそうです。今回はちょうどひと月ほど漬けた茶葉だということでした。


農家の平岡さんご夫妻に指南を受けて、作業が始まります。まずは慎重に重石を固定していた縄を解き、石を下ろします。


蓋の上まで上がっている茶葉の漬け汁は茶色く泡立ち、発酵した少し酸味のある香りが辺り一帯に広がります!この中に茶葉が?という気持ちで見守ります。



蓋を開ける前に、漬け汁をポンプでできるだけ吸い出します。



そしていよいよ蓋を開けてシュロの葉を取り除くと、美しい茶葉が顔を見せてくれました!



シュロの葉は、高い殺菌作用と密閉効果があり、農家さんによってはバショウの葉やわらを使うこともあるそうです。シュロの葉でしめ縄やたわしなども作られていることを、平岡さんが教えてくれました。

濡れた茶葉は重く、移動させるのも一苦労。軽トラに積んだら、これから天日干しの作業場へ向かいます。


ふと、疑問に思って聞いてみました。

「茶畑はどのあたりですか?」

すると、意外な答えが。

「その辺に生えているでしょ?」

振り返ると、自然のままに大きく育った茶の木があちこちに。


きれいに刈り込まれた茶畑とは異なる、野性味あふれる茶の木が、つやつやと輝く厚い葉をつけていました。

その生命力ある姿に感動すると共に、7月の猛暑の中、新芽とは異なる大きく育った葉をこの状態で手摘みするのはどれだけ大変なことか、容易に想像がつきました。

現地に来てみないと、分からないことがたくさんあります。本当に頭が下がる思いで、天日干しの作業場所へ向かいました。

後半へ続く



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